レオン。


イヴェットとリュドヴィークが暴走して作品のバランスを歪めていたのかもと先に書きましたが
もう1つの要因がやはり樹里ちゃんのレオンだったのかもしれない、と。
(何度も注をいれてしつこいですが、私はその歪んだマラケシュが死ぬほど好きです)


ゆみこレオンはリュドヴィークより年下。
本人の自覚はなく、白人であるリュドヴィークに憧れを抱いている。
リュドヴィークと組んでる(=対等)だと思っているのはレオンの一方通行。


リュドヴィークには最初からわかっていたレオンの末路。

自分と同じ魂。

自分と同じ道を辿ろうとする愚かで若いただのチンピラ。


だからリュドヴィークはレオンを守ってやれない。
救う事も出来ない。

レオンの思いがわかってしまうから。



どれだけ冷たくしても、何度突き放しても、
惨めに縋りつき纏わりつき、でも包み込む様に、愛を絶え間なく注ぎ込もうとする恋人ファティマ。


ラッラ役も兼ねた作りになっているわけなんですが、これがとても良い。
すっきりしたし、女の情念と懐の深さと業のバランスが絶妙。
くまくまファティマの潤んで慈愛に満ちた瞳と、ゆみこレオンの怜悧な眼差しの対比が素晴らしい。
(そしてラブシーンが素晴らしい※特記事項)


パリなんて夢幻ばかりを睨みつけていたレオンには言い出せなかった、新しい生命…。



ファティマのお腹に宿った新しい生命を。