パリのあの日から今までずっとお互いを愛し続けてきたとわかりあったのに
何故リュドヴィークはすがるイヴェットの手を離してしまうのか。



「私を恨んでる?
 私は昔のままよ
 あなたは昔とは変わってしまったみたいだけど」 



リュドヴィークがイヴェットを思い続けていたことは変わってないと思うんです。
あのセリフを言われた時のリュドヴィークは「違う」って悲鳴をあげてるような表情をするから。


でもね、実際リュドヴィークは変わってしまった。
生きていくために、変わらざるを得なかったんです。


マフィアの仕事で手を汚し…
手だけでなく、きっと身も汚してきてしまったんじゃないかと。


汚すって表現は語弊がありそうですが、
生きる為に詐欺をする為に
飢えた心に目を背け、柔らかな笑顔を浮かべ
自分の本当の心に触れさせずに、優しい言葉を人に投げかける。


手も握ろう。
抱きしめてあげよう。
心が温まることがないのなら、せめて身体だけでも温もりを。



そうやって変わっていく事で、リュドヴィークはイヴェットへの思いを守りつづけてきたのかもしれない。


でもイヴェットは変われなかった。
変わらないことでリュドヴィークへの愛を守ろうとしたから。




それがリュドヴィークとイヴェットの愛の容。