例によって晴れ女の神っぷり健在。


今にも降り出しそうな凍てつく曇天の中、春野さん楽屋出。
そしてその楽屋出が恙無く終わるのを見届けていたかのようにぽつりぽつりと降り始める冷たい雨。
そこから去っていく日を残された時間に思いを馳せて涙が零れ落ちるかのようにそぼ降る雨の中、帰途につく。


…途中寄り道して地元のコンビニでお買い物していると、やはり買い物中の女性に声をかけられた。

「あの…」


驚いて顔を上げると見覚えのない知らない顔。


「ひょっとして観劇帰りですか?」と彼女は私に訊ねる。
確かに。ファンクラブのグッズのバッグを持った大荷物の私…
うっかり「はい」と正直に答えると彼女は少し安堵の表情を浮かべ、そして真剣な眼差しで私を見つめた。
「おささんの、足は大丈夫なのでしょうか?」




まさか…見ず知らずの人間にこんなことを訊ねる人がいるとは…!私は春野寿美礼の凄さを思い知る。地元にファンがいることに、ではなく。※実際何人も見かけているので今更驚くことではないし、さらに地元の本屋には歌劇もGRAPHも数冊ずつ仕入れられているのでヅカファン人口はかなり高めなのだ。




春野寿美礼を好きな人がいる。

好きだから劇場に通う人がいる。
好きだけれど劇場の中に入れなかったとしても楽屋の入り出に通う人がいる。


その他に、好きだけれど日比谷に来れなくても
春野寿美礼を思う人がいる。
見ず知らずの人に声をかけてしまうくらいの熱い思いを持ったファンがいる。





間もなく訪れる退団公演千秋楽公演。

劇場の中で見守るファンがいる。
中継会場で見守るファンがいる。
そして劇場の外で待ち続けるファンがいる。
そして、劇場の近くにいないけれど、中継会場にいないけれど、遠くから思いを寄せるファンがいる。



愛の容は人それぞれだから、ファンであるスタイルも人それぞれだということ。
今更ながらこんな当たり前のことに気付かされて、いや劇場であれだけのファンの数を見た後だったから殊更。






春野さんが愛されていることを強く強く感じた。










愛に包まれながら、あと2日。

キラキラと白く輝く姿を優しく見守りたい。