うたかたの恋、観劇してきました。

うたかたの恋はシメあやかが初見。
悲恋だという前知識のみで観劇した為か、
ルドルフとマリーがかくれんぼをしている時点から溢れる涙を抑えられなかったっけ。
後はもうパブロフの犬


花の如く萌え出でて 花の如く散りぬ



あれを最初に見たときはまだまだ自分も若かったし
舞台の愉しみ方も極端で、ただもう色んなものを見逃すまいと
色んな場所をオペラで覗き込んでは、おそらく色んな場所を見逃していたのだろうと思う。



あれから十年近く経ち、もう一度生の舞台でうたかたの恋
春野寿美礼で観られるということが純粋に楽しみだった。
でもそれよりも自分の中のメインは「オサゆみファイナル」公演であったし
パワーアップしたスミレちゃんならぬスミレさんが観たい!という思いでもあった。

それは観る前から想像できてしまいそうな印象を持っていたから。


AppartementCinemaやファントムを見ていると、時折「うたかたの恋」のルドルフとマリーを連想させるような
そんなシーンにいくつか遭遇した。
例えば眠るアンナに口づけをしたり、髪を撫でたりしながら微笑むウルフだったり
やっぱり眠っているクリスティーヌに口づけをするエリックだったり。
お姫様抱っこをするエリックだったり。


オサ彩音うたかたの恋をするなんて、
まさに王道…嵌りすぎ!!
そして再演するには余りにも様々なトップコンビが演じすぎてきたという偏見もあったと思う。



柴田演出の素晴らしさはやはり盆使いの美しさ。
真っ赤な絨毯が敷かれた大階段に佇む白軍服のルドルフに花嫁衣裳のマリーで始まるプロローグ。

大劇場の舞台装置を余すところなく使いつくした場面転換にため息をつくひまもないくらい。


それが地方巡業になると全てがミニサイズにひとまわり小さくなってしまう。
マリーのベッド小さすぎますから!!
盆が無い!階段は5段?(でしたっけ)


…でもそんなこと関係ないんですよ。
演者は客席を舞台にぐいぐい引き寄せていく。




春野ルドルフの孤独。
寂しそうに笑うオーストリアの皇太子。

あんなにいろんな人から愛されているのに、と歯がゆくも思うのですが

信頼していて、尚且つ打ち解けているように見えるロシェック、ブラッドフィッシュ、
いとこでもあり親友のジャン、理解者でもある母親のエリザベート
誰一人としてルドルフの孤独から本当に救い出すことは出来なくて

それがいとも簡単にマリーが救い出してくれたわけです。


ルドルフだけを真っ直ぐに見つめる純粋な瞳。
誰の目を気にすることも、怖れることも、それによって惑わされることも疑うことも人を妬むこともなく
ただひたすらにルドルフだけを思い、ルドルフだけを愛し


ルドルフの傷ついた心を癒し、渇いた心を潤すマリーの愛。
いやもうマリーの存在そのものが愛なのかもしれない。




「そんなに苦しんでいらしたの?
  ルドルフ、私にも分けてください…早く」



マリーという女性は、私が言いたい台詞を全部言ってくれます。
しかも美しく柔らかな言葉で、傷ついた心をそっと包み込むように。



春野寿美礼では想像出来ないくらい、キスシーンがたくさんあります。
おそらく数えてたらキレそうになるくらいあると思います。
(そういう作業をしてしまうとこの色ボケ皇太子!と作品自体に疑問を投げかけてしまう怖れがあるため)


ぼうっと「ちょっと多いよね」ってツッコミ入れながらも

その口づけそのものが聖なる言葉のように心を癒していくような
抱擁とかもしっぱなしとかなんですけど、
触れ合えば触れ合うほど、穏やかで清廉な空気が支配するというか…

不思議な感覚に包まれました。



美しい2人でした。
あんまりにも美しすぎて、余計に切なくて哀しい。




ロシェックとブラッドフィッシュがマイヤーリンクに行く道すがらの会話でさえ
哀しくて切なくて泣けてくる…

ブラッドフィッシュさんよう。
あんなキラキラした瞳でルドルフ殿下(とマリー)のことを語らないでくれよ…
先の展開を考えて涙が止まらなくなるじゃねぇか!!(男泣)




(というわけで今日はここまで…)(次はいつだよ)


今週末から関東付近巡業です。
うたかた堪能しまくります!
エンターの感想も超書きたいので…それはまた次の機会に。